競艇の「即日帰郷」とは、選手が節の途中に地元に帰るように命令されることだ。
前検での不合格や、レース中にスタート事故を繰り返すことが原因となる。
2018年2月5日の宮島第9レースでは、出走した6人の選手が全て即日帰郷となる事態が起きたことが有名だ。
即日帰郷の命令が原因は?
即日帰郷の命令が出る原因は、
- 前検で不合格
- 非常識なフライング
- スタート事故
- 失格行為
の4つが挙げられる。
ただし、公共交通機関の遅れなど、選手に責任がない場合は即日帰郷の命令が出ないこともある。
前検で不合格
節の開催初日前日の前検で、
- 規定値以上の体調不良
- 選手登録表を自宅に忘れた
- 集合時刻に遅れた(遅参)
などのことが起こった場合、選手に即日帰郷の命令が下る。
特に、「遅参」は重大な過失として一定期間の出場停止と、1年間のSG・プレミアムG1への出走禁止が命じられる。
実際に、2014年に「古賀繁輝」選手が遅参したことによって「SGボートレースクラシック」への出場権を失ったことがある。
非常識なフライング
非常識なフライングとは、スタートタイミングよりも0.05秒以上早いタイミングでスタートラインを通過してしまうことだ。
1回でも非常識なフライングをしてしまった場合、すぐに即日帰郷の命令が下される。
非常識なフライングは、他の艇のスタートタイミングを大きく乱してしまう可能性があるため、厳しい罰則となっている。
スタート事故
スタート事故とは、「フライング」と「出遅れ」の2つのスタートの失敗をまとめた呼び方だ。
同じ節の間に「フライングを2回」または「出遅れを2回」してしまうと、即日帰郷の命令が下される。
実は、即日帰郷の原因として一番多いのは、フライングを同じ節の間に2回してしまうことだ。
失格行為
失格行為とは、周回方向、周回の誤認、タイムオーバー、危険な転舵、緊急避譲義務違反、転覆、沈没、落水などが挙げられる。
また、ピットアウトからスタートまでの待機行動中に、他の艇のコース取りの邪魔をするような行為をすると失格行為とみなされる。
これらの失格行為を同じ節の間に3回してしまうと、即日帰郷の命令が下される。
即日帰郷を命令された選手はどうなる?
即日帰郷の命令が下された選手は、その日のうちに荷物をまとめて帰らなければならない。
ただし、同じ日のうちに2回の出走予定がある場合、1レース目で即日帰郷になったとしても、2レース目に出走することができる。
節の途中で帰ることになるので、地元に帰ってからは次の出走予定まで暇を持て余すことになる。
賞金でお金を稼いでいる選手にとっては、出走するレースの数が減るのは致命的だ。
また、選手の級別は出走レース数も条件になっているので、A1級になれる可能性がかなり低くなってしまう。
即日帰郷のコラム
2018年2月5日の宮島競艇場第9レースで、出走した6艇の選手全てが「非常識なフライング」をしたことで即日帰郷の命令を受けた。
画像は当時のレース結果だが、6号艇が0.19秒、1号艇が0.9秒のフライング、5号艇が0.8秒のフライング、残り3艇が0.5秒のフライングをしている。
競艇の長い歴史の中でも、異例の全舟券が返還される事態となった。
即刻帰郷と途中帰郷
選手が節の途中で競艇場から帰るのに、即日帰郷以外に「即刻帰郷」と「途中帰郷」がある。
即刻帰郷は、同じ日のうちに2回出走予定があっても、1レース目が終わり次第すぐに帰らなければならない厳しい命令だ。
極めて悪質な違反や、フライングに気付かずにレースを続けてしまった場合に下される。
途中帰郷は、選手自身の都合で帰郷するときに使われる用語だ。
病気などのほか、級別審査対象期間の締めとなる4月と10月の下旬には、次期の昇級や降級回避が確定した時点で帰郷する選手もいる。
即日帰郷を予想にどう活かす?
節の序盤にフライングをしてしまった選手は、即日帰郷にならないためにスタートが慎重になる。
出走表に記載されている平均スタートタイムが良くても、「F(フライング)」を持っている選手のスタートにはあまり期待しない方が良いだろう。
特に、スタートタイミングが重要なアウトコースでの戦いは厳しいものになるのだ。
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