投稿日 2019/10/4
この記事では、「競艇のチルトってなに?予想にどう活かすの?」という方に向けて、競艇のチルトの意味やモーターへの影響をまとめた。
チルトとは、ボートにモーターを取り付ける角度のことだ。
また、モーターとプロペラはセットになっているので、チルトはボートに対するプロペラの角度と考えることもできる。
例えば、チルト0.0度は、プロペラがボートに直角に取り付けられている状態だ。

競艇選手は、本番のレースの前に、チルトを変更して自分好みのボートに調整することが許されている。
そして、俺たち競艇ファンはチルトの数値を見て「この選手は勝負しそうだ!」といった判断をするのだ。
ぜひこの記事を最後まで読んで、チルトを予想に活かせるようになってくれ。

競艇のチルトとは?
冒頭でも説明した通り、競艇のチルトとは、ボートにモーターを取り付ける角度のことだ。
チルトは「チルトアジャスター」という部品で調整でき、競艇選手は本番のレースの前に、自分の艇のチルトを変更することができる。
選べるチルトは競艇場ごとに異なるが、最大で「-0.5度、0.0度、0.5度、1.0度、1.5度、2.0度、2.5度、3.0度」の8段階があるぞ。
また、チルトを小さい数値にする(-0.5度に近づける)ことを「チルトを下げる」と言い、チルトを大きい数値にする(3.0度に近づける)ことを「チルトを上げる」とか「チルトをはねる」と言う。
チルトの話をするときに必ず出てくる言い方なので、ぜひ覚えておいてくれ。

チルトの基礎知識は、だいたいこんな感じだな。
次は、チルトのモーターへの影響を解説するぞ。
競艇のチルトのモーターへの影響は?
競艇のチルトのモーターへの影響を簡単に言えば、
- チルトを下げる
→出足と回り足を重視 - チルトを上げる
→伸び足を重視
ということになる。
これは、モーターの角度を決めると、プロペラの角度が決まることを考えれば分かりやすい。
例えば、チルト0.0度はプロペラがボートに直角に取り付けられている状態なので、艇の先は水面と平行になる。
この状態を基準に、チルトを下げた場合とチルトを上げた場合について考えてみよう。
チルトを下げると出足型
チルトを下げると、プロペラがボートに対して斜め下に向かって付いている状態になる。
すると、艇の先は下を向き、水面と触れる面積が大きくなるので、ボートが安定するようになる。
結果として、安定して初速が出やすく、ターンが回りやすい「出足と回り足を重視」したモーターになるのだ。
ただし、水面からの抵抗は大きいので、直線では伸びにくいという欠点もあるぞ。

チルトを上げると伸び足型
チルトを上げると、プロペラがボートに対して斜め上に向かって付いている状態になる。
すると、艇の先は上を向き、水面と触れる面積が小さくなるので、ボートが水面から受ける抵抗が小さくなる。
結果として、直線の最大速が出やすい「伸び足を重視」したモーターになるのだ。
ただし、ボートが安定していないので、初速が出にくく、ターンが回りにくいという欠点もあるぞ。

チルトは、上げることにも下げることにも、メリットとデメリットがあることが分かった。
では、実際のレースではチルトはどのくらいの数値で使われているのだろうか?
チルトを予想に活かす方法と合わせて解説するので、ぜひ参考にしてみてくれ。
競艇のチルトは-0.5度と3.0度のどっちが強い?
競艇のチルトは、-0.5度と3.0度のどっちが強いのか?
結論から言えば、現代の競艇では、チルトは-0.5度のほうが強いと考えられている。
伸び足を少しくらい犠牲にしても、出足や回り足が良いほうがレースを有利に運ぶことができるからだ。
実際に、ほとんどの一流選手がチルト-0.5度でレースに出場しているのがその証拠だろう。
ここからは、チルトごとの注意点を解説していくぞ。
チルトは-0.5度が主流
先ほども解説した通り、現代の競艇ではチルト-0.5度が主流となっている。
例えば、チルトを8段階から選ぶことができる浜名湖競艇場で、どのチルトがよく使われているのかを調べてみた。
調査は、2019年7月23日~29日に開催されたG2「第1回ボートレース甲子園」の全72レースで行ったぞ。
チルト | 回数 |
---|---|
-0.5度 | 390回 |
0.0度 | 41回 |
0.5度 | 0回 |
1.0度 | 0回 |
1.5度 | 0回 |
2.0度 | 0回 |
2.5度 | 0回 |
3.0度 | 1回 |
上の表から、一流選手が集まるG2競走では、チルト-0.5度が90%以上の割合を占めていることが分かる。
また、6日間で72レースあったにも関わらず、チルト0.5度以上を使った選手は1人しかいなかった。
勝つためにはチルトを下げるというのが、現代の競艇においては常識ということだ。

チルト0.0度、0.5度の艇に要注意
チルトは-0.5度が主流だが、0.0度や0.5度くらいなら、レースのグレードや競艇場によっては使われることもある。
チルトを上げている選手は、まくり一発を狙っている可能性があるので要注意だ。
特に、4コースの艇がチルトを上げている場合、スタートが早ければ締めまくりが決まることがある。
その場合、1コース~3コースの艇は進路がふさがれてしまうので、活躍は難しいだろう。
逆に、5コースの艇は4コースの艇に付いて行くだけなので、2着を獲りやすくなる。
つまり、4コースの艇がチルトを上げているときの二連単の狙い目は「4-5」ということだな。

チルト3.0度の艇は1着か6着
チルト1.0度以上は、基本的には使われることはないが、一発を狙って試す選手がときどきいる。
普段の調整とは全く違ったモーターになるので、うまくいけばとても強いが、うまくいかなければ全く活躍できない。
特に、チルト3.0度の艇は、1着か6着と考えていいだろう。
三連単を買うときは、チルト3.0度の艇の2着や3着は買わなくてもよいということだな。

ここまでで、競艇のチルトについて、ほとんどのことは伝えた。
チルトを上げている艇がいるときは、舟券戦略も変わってくるということだ。
ここからは、競艇のチルトのコラムをまとめているので、良かったら最後まで読んでみてくれ。
競艇場ごとのチルトの最大角まとめ
チルトは最大で「-0.5度、0度、0.5度、1.0度、1.5度、2.0度、2.5度、3.0度」の8段階があるが、全ての競艇場で3.0度まで選べるわけではない。
競艇場ごとに、使えるチルトは決まっているのだ。
全国24カ所の競艇場について、使えるチルトの範囲をまとめたぞ。
チルト | 競艇場 |
---|---|
-0.5度~0.5度 | 戸田 |
-0.5度~1.0度 | 桐生 |
-0.5度~1.5度 | びわこ、住之江、若松、福岡、大村 |
-0.5度~2.0度 | 江戸川、徳山 |
-0.5度~3.0度 | 上記以外の15カ所の競艇場 (※浜名湖以外はチルト2.5を除いた7段階) |
基本的に、チルトの最大角は、難水面の競艇場ほど小さくなり、静水面の競艇場ほど大きくなっている。
難水面の競艇場では、チルトを上げてボートの安定性を下げると、転覆などの事故が起きやすくなってしまうからだ。
例えば、戸田競艇場は日本で一番狭い水面で、第1ターンマークのバック側が70.5mしかない。
そのため、チルトを上げてスピードターンを決めようとしても、対岸にぶつかってしまう可能性があるのだ。
競艇場ごとのチルトの最大角は、選手の安全を考えて決められているわけだな。

競艇のチルト3.0度について一流選手が対談?
競艇のチルトについて、現役A1級選手である「菊地孝平」選手と「茅原悠紀」選手が対談している動画を見つけた。
動画の内容は、パチスロライターの「ういち」氏が、「菊地孝平」選手と「茅原悠紀」選手にインタビューをしたものとなっている。
二人の出会いや仲良くなったきっかけなど、ここでしか聞けない話が満載だ。
チルトについての話題は「23:24」くらいから始まるので、良かったら見てみてくれ。
また、俺のほうでも特に印象深い話題について取り上げてみよう。
使えるのは0.5度まで
インタビューのなかで、「茅原悠紀」選手は「僕ら素人レベルで言ったら、使えるのは0.5までです」とコメントしている。
ここで言う「素人」とは、チルトを上げることについての素人という意味だな。
「茅原悠紀」選手ほどの一流選手でも、チルト1.0度以上は使いこなすことができないらしい。

また、「菊地孝平」選手は「-0.5度と0.0度の違いより、0.0度と0.5度の違いのほうが大きい」とコメントしている。
そして、チルトを上げれば上げるほど、違いは大きくなっていくそうだ。
「茅原悠紀」選手は、この違いについて面白い例え話をしている。
チルトの違いを服に例えると、
- -0.5度と0.0度の違い:ジャケット
- -0.5度と0.5度の違い:ダウン
- -0.5度と1.0度の違い:エスキモー
- -0.5度と3.0度の違い:宇宙服
といった感じらしい。
-0.5度と0.0度ではあまり感覚が変わらないが、-0.5度と3.0度では大きく感覚が変わることがイメージできるだろう。

優勝戦でチルト3.0度を使うと約束
インタビューのなかで、「ういち」氏が「ボートレース甲子園はお祭りなんだから、チルト2.5度とか3.0度行ってみようよ!」と2名の選手に提案した。
それに対して、「菊地孝平」選手は「優勝戦6号艇だったら、2.5で行きますよ」、「茅原悠紀」選手は「ダッシュだったらやりますよ」と返答。
実際に、優勝戦の6号艇は、多少の無茶をしなければ勝つのは難しいらしい。

そして、実際に行われたボートレース甲子園の優勝戦の直前情報がこれだ。
本当にインタビュー通り、「茅原悠紀」選手が4号艇でチルト3.0度を実践している。
レース結果は6着と残念な結果だったが、ファンの心には響いただろう。
この機会に、読者さんもぜひ「茅原悠紀」選手の名前を覚えていってくれ。

以上で、競艇のチルトについての解説は終了だ。
最後に、この記事の内容を簡単に復習しよう。
競艇のチルトのおさらい
競艇のチルトについて、もう一度まとめると、
- チルトとは、ボートにモーターを取り付ける角度のこと
- チルトを下げると、出足と回り足が良くなる
- チルトを上げると、伸び足が良くなる
- チルトは-0.5度が主流
- チルト0.0度や0.5度のまくりに注意
- チルト3.0度は1着か6着
の6つがポイントだ。
チルトは、直前情報を見ても-0.5度ばかりなので、普段はあまり気にしない方が多いかもしれない。
しかし、ときどき出てくるチルトを上げている選手に注目することで、予想の精度をさらに上げることができるぞ。
細かい情報だが、しっかりと予想に活かして、競艇勝ち組を目指していこう。

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コメントについて
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