投稿日 2018/6/8(更新日 2020/9/29)
競艇のフライングとは、スタートのタイミングになる前に選手がスタートラインを通過してしまうことだ。
フライングを2回以上した選手には重い罰則があるため、一度フライングをしてしまった選手はそれ以降のスタートが慎重になる。
出走表に「F」と書かれている選手は、スタートにあまり期待しない方がいいだろう。
この記事では、
- フライングの意味とペナルティ
- フライング休みの罰則期間
- フライングの予想への影響
について、競艇初心者でも分かりやすいように解説していく。

フライングの意味とペナルティ
競艇のスタートは「フライングスタート方式」で行われる。
フライングスタート方式とは、決められた時間内にスタートラインを通過することでレースが開始するスタート方式だ。
この「決められた時間」よりも早くスタートしてしまうのが「フライング」である。
フライングスタート形式
競艇のレースは「ピットアウト」→「待機行動」→「スタート」の順番でスタートする。
艇を留めておく「ピット」を発進した選手は、待機行動中にスタートするコース取りを行う。
コース取りが決まったら、スタートタイミングでうまくスタートできるように艇を加速させる。
スタートタイミングは、各競艇場のスタート位置付近に設置されている「大時計」が0秒~1秒を指す間だ。
競艇選手は、わずか1秒間のタイミングを狙って艇のスピードを調整しなければならないのだ。
フライング休み
フライング休みとは、フライングをしたペナルティで、一定期間レースに参加できなくなることだ。
フライングをしてすぐに適用されるわけではなく、参加が決まっているレースがある場合は全て終わってからフライング休みに入る。
フライング休み中はレースに参加することができないので、練習や休養に当てている選手が多い。
即日帰郷
即日帰郷とは、同一節内にフライングを2回してしまったときに課せられるペナルティだ。
その日のレースが終わり次第、荷物をまとめて競艇場を去らなければならない。
即日帰郷の命令が下される原因は他にも色々とあるが、フライング2回が最も多い原因となっている。
関連用語
非常識なフライング
非常識なフライングとは、スタートタイミングよりも0.05秒以上早いタイミングでスタートラインを通過してしまうことだ。
1回でも非常識なフライングをしてしまった場合、すぐに即日帰郷の命令が下される。
非常識なフライングは、他の艇のスタートタイミングを大きく乱してしまう可能性があるため、厳しい罰則となっているのだ。
いつリセットされる?
選手のフライングの回数は、半年に1回、5月1日と11月1日にリセットされる。
ただし、フライング休みを消化していない場合は、リセット後にリセット前のフライング休みに入ることもある。
例えば、4月にフライングをした選手が4月はレースの予定が詰まっていたする。
4月中はフライング休みに入れないので、フライング回数がリセットされた5月以降にフライング休みに入ることになるのだ。

フライング休みの罰則期間のルール
フライングは回数を重ねるほど重いペナルティが課せられる。
回数とペナルティを下の表にまとめた。
回数 | ペナルティ |
---|---|
1回 | 30日間のフライング休み |
2回 | 60日間のフライング休み |
3回 | 90日間のフライング休み |
4回 | 180日間のフライング休み |
ペナルティは合算されていくので、フライングを2回した場合は「30日間+60日間」で合計90日間のフライング休みになる。
また、共通のペナルティとして「賞典レース除外」と「事故点20点」が課せられる。
3回(3本)や4回(4本)は実質引退
競艇選手はレースの賞金や完走手当などで収入を得ている。
フライングを3回以上してしまうと、半年以上稼ぎがない状態になるのでかなり厳しい。
また、フライング4回目は「選手出場あっせん保留基準第8号」と「競走の公正確保及び競技水準の向上化に関する規程」により、事実上の引退勧告がなされる。
フライングを2回してしまった選手は、フライング回数がリセットされるまでは思い切ったスタートができなくなるのだ。
賞典レース除外
賞典レースとは、優勝戦、準優勝戦、〇〇選抜や〇〇特選などの賞金が大きいレースのことだ。
フライングをしてしまうと、同一節内の賞典レースには出走できなくなる。
例えば、節の1日目でフライングをしてしまうと、どんなに成績が良くてもその節の準優勝戦に出ることはできないということだ。
例外として、1日に2回出走する「2回走り」の場合は、1走目でフライングをしてしまっても、2走目は普通に出走できる。
事故点20点
事故点とは、事故率を計算するための点数だ。
通常のフライングで20点、優勝戦のフライングは30点の事故点が加算される。
事故率は「事故点/出走回数」で計算され、B2級以上になるためには事故率0.70以下でなくてはならない。
フライング1回までなら普通に走っていれば事故率は0.70以下になるが、2回以上になるとフライング休みもあるので挽回が難しくなる。

SG・G1の優勝戦・準優勝戦でのフライング
SGやG1の優勝戦・準優勝戦でフライングをした場合は、通常のペナルティに加えて追加のペナルティが課せられる。
それぞれのペナルティについて、下の表にまとめた。
どのレースで フライングしたか | SG競走への ペナルティ | プレミアムG1・G1・G2への ペナルティ |
---|---|---|
SG優勝戦 | 1年間除外 | 6か月間除外 |
SG準優勝戦 | 4節除外 | 3ヵ月間除外 |
プレミアムG1・G1・G2 優勝戦 | なし | 6か月間除外 |
プレミアムG1・G1・G2 準優勝戦 | なし | 3ヵ月間除外 |
※除外:出走資格を失うこと
SG競走でのフライングは、参加が決まっているSGも出場取り消しとなってしまう。
一般戦とSG・G1競走では賞金額が10倍以上違うので、選手にとっては出場取り消しは致命的なものとなる。
例外として、賞金王決定戦と賞金女王決定戦は、12位以内であれば出場が可能だ。

フライングした艇の舟券の払い戻し
フライングした艇の舟券は全額払い戻される。
競艇場側からすれば、せっかくの売り上げがなくなってしまうので大損である。
舟券を買う俺たちにとっても、的中舟券のオッズが変わってしまうので残念な気持ちになることが多い。
フライングした選手へのペナルティが大きいのは、多くの人に迷惑をかけてしまうからなのだ。
舟券が返還される
フライングをした艇が絡んだ舟券は、全額返還される。
例えば、4号艇がフライングをした場合、4号艇の単勝や複勝はもちろん、4号艇が絡んでいる二連単や三連単も全て返還対象となる。
通常の払戻金と同じように、自動払戻機に舟券を入れることで、購入した金額と同じお金が返ってくるぞ。
ちなみに、スタート後の転覆、落水、エンストなどでは返還は行われない。
オッズが変わる
舟券の売り上げが返還されるので、オッズも舟券販売時から大きく変化する。
せっかくの穴舟券が的中しても、払戻金が100円になってしまったりすることもある。
こればっかりは仕方ないので、選手が正常にスタートしてくれることを願うばかりだ。
5艇フライングでレース不成立
フライングした艇が多すぎると、舟券やレースが不成立になってしまうことがある。
3艇フライングで「三連複」が、4艇フライングで「三連複・三連単・二連複・拡連複・複勝」が、5艇フライングで「全ての舟券」が不成立になる。
上の画像は2017年11月9日の江戸川競艇第4レースの結果だが、5号艇以外がフライングをしたことで全ての舟券が不成立となった。

フライングのレース予想への影響は?
1度でもフライングをした選手は、フライング回数がリセットされるまではスタートに慎重になる。
スタートタイミングが「0.01」でも遅いと着順が変わってくるので、選手にとって大きなハンデと言える。
出走表では「F」と書かれている選手は、一見強そうでも勝てない可能性を考慮する必要があるということだ。
処分が怖くてスタートできない選手
例えば、上の出走表を見ると1号艇と2号艇に「F」がついている。
このレースの結果は「4-3-1」だった。
1号艇と2号艇のスタートが遅れたことにより、4号艇の全速まくりが決まったかたちだ。
イン有利の競艇でも、いかにスタートが大切かが分かるだろう。
スタート展示でのフライング
スタート展示とは、本番のレース前に各選手がスタートの練習をするものだ。
このとき、思ったよりもモーターの調子が良い選手がフライングしてしまうことがある。
出遅れている選手よりもフライングしてしまった選手の方が活躍すると覚えておこう。

まとめ
競艇のフライングについて、もう一度まとめると、
- フライングした選手には重い罰則
- フライング艇の舟券は全額返還
- 「F」持ちの選手はスタート×
の3つがポイントだ。
競艇選手は、半年間でフライングを3回以上すると、実質引退のような状況になってしまう。
1つでも「F(フライング)」を持っている選手はスタートが慎重になるので、他の選手と比べて大きなハンデを背負っていることになる。
出走表を見るときは、各選手が「F」持ちかどうかを要チェックだ。

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コメントへの回答
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なお、全てのコメントに回答するわけではないのでご了承願いたい。
俺がどのようにコメントを活用しているのかを知りたい方は「読者さんからのコメントについて」というページを読んでみてくれ。
転覆と落水の違いや罰則について知りたい
競艇の転覆とは、艇がひっくり返ってしまうことだ。
一方、競艇の落水とは、艇から選手だけが水面に投げ出されることだ。
つまり、転覆と落水の違いは、艇がひっくり返っているかどうかの違いになる。
また、転覆や落水の罰則については、加害者側に事故点が与えられ、被害者側は何も罰則がないことが多い。
とはいえ、そこは審判が決めることなので、ケースバイケースということになるな。

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